安藤 忠雄

住吉の長屋

2017

Drawing

H21 × W110 cm

ときの忘れもの

Detail
SECTION:
Galleries
BOOTH:
W06

Artist Profile

1941年大阪生まれ。独学で建築を学び、1969年安藤忠雄建築研究所設立。代表作に「光の教会」「ピューリッツァー美術館」「地中美術館」など。1979年「住吉の長屋」で日本建築学会賞、1993年日本芸術院賞、1995年プリツカー賞、2003年文化功労者、2005年国際建築家連合(UIA) ゴールドメダル、2010年ジョン・F・ケネディーセンター芸術金賞、後藤新平賞、文化勲章、2013年フランス芸術文化勲章(コマンドゥール)、2015年イタリア共和国功労勲章グランデ・ウフィチャ―レ章、2016年イサム・ノグチ賞など受賞多数。1991年ニューヨーク近代美術館、1993年パリのポンピドー・センターにて個展開催。イェール、コロンビア、ハーバード大学の客員教授歴任。1997年から東京大学教授、現在、名誉教授。

【原点/住まい】
安藤忠雄にとって、人間の「住まう」という最も根源的な営みを受け止める住宅こそが、建築の原点です。その作品の展開の中で、打ち放しコンクリート、単純な幾何学的造形、自然との共生といったキーワードに象徴される、安藤建築の原型は完成しました。初期の代表作から近年の圧倒的スケールの海外作品まで――住まいを通じて建築とは何かを問う、安藤忠雄の挑戦は今なお続いています。

【光】
極限までそぎ落とされたようなシンプルな造形。その無地の「カンヴァス」に光や風といった自然の息吹が映し出されることにより、安藤忠雄の目指す空間が生まれます。その意図がもっとも端的に現れているのが、一連の教会作品といえるでしょう。風、水、光、地中――それぞれに異なるテーマを与えられた建築作品の内に、それぞれに異なる光の空間が息づいています。

【余白の空間】
自らを「都市ゲリラ」と称した安藤忠雄が、都市において一貫して試みてきたのは、意図的に「余白」の空間をつくりだし、人の集まる場を生み出すことでした。その挑戦精神は、初期の小規模な商業建築から、「表参道ヒルズ」、「東急東横線 渋谷駅」、「上海保利大劇院」といった2000年以降の作品まで、変わることなく息づき、安藤忠雄ならではの個性的な都市建築の系譜が編まれています。

【場所を読む】
大自然に包まれた立地での安藤建築が登場するようになったのは、1980年代末からでした。以降、世界各地に美しくも力強い、建築による風景の創造がなされています。一貫するテーマは、周辺環境と一体化して、その場所の個性を際立たせるような建築です。その象徴が、30年間余りに及ぶ「直島の一連のプロジェクト」といえるでしょう。マスタープランなきままに、人間とアート、場所の自然風土と対話を重ね、生物が増殖するようにプロジェクトを拡張していった、その稀有の建築のプロセスが、かつての名もなき小島を、世界的なアートの聖地に育て上げる原動力の一つとなりました。

【あるものを生かしてないものをつくる】
安藤忠雄にとって、歴史の刻まれた建物の再生は、常に挑戦心をかき立てられるテーマでした。しかし、ここでいう“再生”とは、単に旧いものを残すことでも、それを新たなものとして塗り替えることでもありません。安藤流“再生”とは即ち、新旧が絶妙なバランスで共存する状態をつくりだすことです。そこに生まれる新旧の対話が、過去から現代、未来へと時間をつなぎ、場に新たな命を吹き込んでいく――安藤忠雄の壮大な挑戦は、グローバルな世界で、今なお進行中です。

【育てる】
安藤忠雄が稀代の建築家と呼ばれる理由の一つは、建築という枠組みを超えた社会活動への旺盛な取り組みにあります。完成後の建物の周辺環境整備から、地元大阪でのまちづくり活動、さらには瀬戸内海沿岸、東京湾岸部での環境再生運動……。多岐にわたるそれらの活動の根底にあるのは、「建築をつくること」と「森をつくること」を、同義に考える大胆かつ繊細な感性と、市民をも巻き込む、その壮大な構想を長い時間をかけて実現まで導く、類まれな人間力です。つくり、育てていく――既成の枠組みにとらわれない、安藤忠雄の自由な発想が、建築の新たなる可能性を切り拓きます。

【受賞歴・展示歴】
受賞
1979年 - 日本建築学会賞(住吉の長屋)
1983年 - 日本文化デザイン賞(六甲の集合住宅ほか)
1985年 - フィンランドのアルヴァ・アールト賞
1986年
芸術選奨文部大臣賞新人賞
毎日デザイン賞
1987年 - 毎日芸術賞
1988年 - 吉田五十八賞(城戸崎邸)
1989年 - フランス建築アカデミー賞
1993年 - 日本芸術院賞
1994年 - 日本芸術大賞(大阪府立近つ飛鳥博物館)、朝日賞
1995年 - プリツカー賞
1996年 - 高松宮殿下記念世界文化賞、国際教会建築賞(フラテソーレ)
1997年 - 大阪キワニス賞、RIBAゴールドメダル
2002年 - 京都賞思想・芸術部門、AIAゴールドメダル
2005年 - UIAゴールドメダル
2010年 - 後藤新平賞

栄典
1997年 - 芸術文化勲章(オフィシエ)
2002年 - ローマ大学名誉博士号、同済大学名誉教授
2003年 - 文化功労者選出
2005年 - レジオンドヌール勲章(シュヴァリエ)
2010年 - 文化勲章
2013年 - 芸術文化勲章(コマンドゥール)
2015年 - イタリア共和国功労勲章

ときの忘れもの

Detail
SECTION:
Galleries
BOOTH:
W06