饒 文貞 (ラオ ウェンジェン)

ステートメント
《山・母》シリーズの創作において、私は伝統的な東洋の山水画を出発点とし、細やかで内省的な工筆画の線描
を組み合わせることで、山のイメージを新たに解釈しています。その中に女性の身体性と母性的エネルギーの視
点を注ぎ込んでいます。
山は、私にとって単なる自然の形態や美的テーマにとどまらず、精神的な象徴でもあります——それは、静かで、
安定しており、声なきままに常に「そこにある」存在です。それはまるで、女性が内包する陰的な智慧と包容の
力のようでもあります。
女性が「母体」となり得るのは、生物学的な性だけによるものではなく、私たちの内にあるしなやかさと強さに
由来しています。その力は剛性ではなく、水のように柔らかくも確かなもの、山のように穏やかで揺るがないも
のです。
女性はしばしば沈黙のうちに支え、表には出ない役割の中で、家庭や共同体、そして生命そのものの支柱となっ
てきました。
私が「山」を母なる存在の象徴として描くのは、そこに深く包み込むような質があるからです。私の描く山は、
時に乳房のように、また時には胸のように広く、庇護する姿を見せます。山はもはや雄大な風景にとどまらず、
親しみやすく、寄り添える精神的存在となっています。
そのような山には、母性的な優しさと揺るがぬ強さが秘められており、人と大地の原初的で深い繋がりに呼応し
ています。
また、作品中にしばしば漂うように描かれる赤い糸は、臍の緒や血縁、繋がりや思念の延長を象徴しています。
まるで織物のようにゆっくりと描かれるその糸は、内なるリズムを映し出しながら、確かな積み重ねと構築、そ
して関係性の織りなしを示しています。
それらの線は単なる形式ではなく、魂の記憶を絹布に刻み込むような、深い儀式的な書き込みなのです。
私が追い求めているのは、陰の力の転換の道——それは対立ではなく、受け入れであり、征服ではなく、安定した
受容なのです。
陽性の論理が主導する現代社会において、陰のリズムや智慧はしばしば見過ごされがちですが、真に生命を育
み、人の心を潤すのは、まさにこの柔らかくも深いエネルギーだと私は信じています。それは山のように、語ら
ずともそこに在り、動かずとも揺るがない存在です。
《山・母》シリーズを通じて、私は母性、大地、そして内なる源との繋がりへと回帰しようと試みています。
その繋がりは、もしかすると忘れられていたかもしれませんが、決して消えてはいません。
それは静かに存在し、私たちが再び感じ、見つめ、思い出すのを待っているのです。

略歴
2000年 東海大学 美術学研究科 修了
1997年 東海大学 美術学科 卒業

個展
2018年「彼女」— 彭光均 × 饒文貞 彫刻・膠彩創作展、一諾芸術、新竹、台湾
2017年「馥雲・地」饒文貞 個展、国立台湾芸術教育館、台北、台湾
2017年「䊹。纖」饒文貞 個展、樂樂書屋、台中、台湾
2013年「繽紛・遊」饒文貞 膠彩個展、媒塑藝饗、台北、台湾
2003年「山・母」饒文貞 膠彩画展、内壢高等学校 創思芸廊、桃園、台湾
2001年「膠流」饒文貞 膠彩画個展、大甲中正芸廊、台中、台湾
1999年「孕生図」饒文貞 創作個展、東海大学芸術センター、台中、台湾

グループ展
2024年「喧騒の孤独」台北市立美術館、台北、台湾
2023年「湧動する墨潮 ― 類水墨の国際旅」桃園市政府文化局、桃園、台湾
2022年「墨相万仟 ― アジア現代美術交流展」高雄市政府文化局、高雄、台湾
2022年 桃園市美術家招待展、桃園市政府文化局、桃園、台湾
2021年「湧動する墨潮 ― アジア現代美術交流展」高雄市政府文化局、高雄、台湾
2021年「汎 ― ポストトレンド時代の様相」国際交流展、韓国信託協会、ソウル、韓国
2021年 第3回 国際芸術・デザイン協力展（IADCE）、プラファ大学 美術・応用芸術学部、チョンブリ県、タイ
2020年「墨相万仟 ― 2020アジア現代美術風貌展」台湾芸術教育館、台北、台湾
2020年「黎明 ― NEAD東北アジア国際交流展」W美術館、全羅北道益山市、韓国
2020年「湧動する墨潮」アジア現代美術交流展、台中市政府文化局、台中、台湾
2020年「湧動する墨潮 ― 2020中韓現代水墨国際交流展」新北市芸文センター、新北、台湾
2017年「無無常・無無法」台湾現代水墨11人展、東街六号美術館、杭州、中国
2017年「匯」静安現代芸術招待展、海上文化センター、上海、中国
2016年「霧の国 ― 現代水墨における女性の文脈」誠空間、台北、台湾
2016年「霧の国 ― 現代水墨における女性の文脈」全球芸術センター、台中、台湾
2016年「人文と文人 ― 東海水墨と膠彩画の離合集散」国立歴史博物館、台北、台湾
2012年 第2回 海峡両岸 岩彩・膠彩画学術展、厦門美術館、厦門、中国
2012年「丹青風華 ― 両岸膠彩・岩彩画創作展」東海大学芸文センター、台中、台湾
2012年「女性的言語・生命の意境」台湾現代膠彩芸術家展（オンライン展）勤益科技大学、台中、台湾
2012年 2012桃園県美術家招待展、桃園文化局、桃園、台湾
2010年 2010桃園県美術家招待展、桃園文化局、桃園、台湾
2009年 第1回 海峡両岸 膠彩・岩彩画展、東海大学、台中、台湾
2005年 東海大学 美術研究科 膠彩組卒業生展、東海大学、台中、台湾
2005年「軌跡・系譜・星図」東海大学創立50周年記念 美術系卒業生回顧展、東海大学、台中、台湾
2004年 台湾膠彩画エリート創作展、静宜大学芸術センター、台中、台湾
2002年「復古と革新の間」台湾膠彩新風貌展、台北県文化局・台中市文化局、台北・台中、台湾
2001年「膠流 ― 膠彩新風貌展」静宜大学芸術センター、台中、台湾
2001年「10+10=21 台北―台中連展」国立台湾美術館、台中、台湾
2001年「浅薄：東海美学運動展」台中港区芸術館、台中、台湾
2000年 台湾師範大学と東海大学美術研究所 国画教育研究展、台中市政府文化局、台中、台湾
2000年「大肚山膠彩画展」台中港区芸術館、台中、台湾
2000年「男声・女芸 ― 新鋭展」台中港区芸術館、台中、台湾
1999年 台中膠彩源流展、台中文英館、台中、台湾
1999年 現代エロス芸術展、台中文英館、台中、台湾
1999年「覚生の象」グループ展、静宜大学芸術センター、台中、台湾

受賞歴
2010年 高雄賞 入選、高雄、台湾
2005年 台湾美術新風貌展 入選、台中、台湾
2001年 第18回 高雄市美術展 入選、高雄、台湾
2000年 第89回 台北県美術展 膠彩画部門 大賞、台北、台湾
2000年 第27回 台北市美術展 入選、台北、台湾
1988年 国家文化芸術基金会 美術類創作助成（半年）、台湾
1988年 第16回 高雄市美術展 入選、高雄、台湾
1988年 第25回 台北市美術展 台北賞（首賞）、台北、台湾
1988年 第86回 教育部芸術創作賞 膠彩画部門 佳作、新北、台湾
1997年 張穀年絵画奨学金、台中、台湾
1997年 東海大学 美術学科展覧会 膠彩部門 第一位、台中、台湾

収蔵記録
2019年「初生」「喜樂極了」「繞指紅」桃園市立美術館、桃園、台湾
2017年「桃山」国立台湾美術館 アートバンク、台中、台湾
2008年「孕擺」国立台湾美術館、台中、台湾
1988年「孕生図」台北市立美術館、台北、台湾

【 SOLO Exhibition 】

2018年「彼女」— 彭光均 × 饒文貞 彫刻・膠彩創作展、一諾芸術、新竹、台湾
2017年「馥雲・地」饒文貞 個展、国立台湾芸術教育館、台北、台湾
2017年「䊹。纖」饒文貞 個展、樂樂書屋、台中、台湾
2013年「繽紛・遊」饒文貞 膠彩個展、媒塑藝饗、台北、台湾
2003年「山・母」饒文貞 膠彩画展、内壢高等学校 創思芸廊、桃園、台湾
2001年「膠流」饒文貞 膠彩画個展、大甲中正芸廊、台中、台湾
1999年「孕生図」饒文貞 創作個展、東海大学芸術センター、台中、台湾

【 Group Exhibition 】

2024年「喧騒の孤独」台北市立美術館、台北、台湾
2023年「湧動する墨潮 ― 類水墨の国際旅」桃園市政府文化局、桃園、台湾
2022年「墨相万仟 ― アジア現代美術交流展」高雄市政府文化局、高雄、台湾
2022年　桃園市美術家招待展、桃園市政府文化局、桃園、台湾
2021年「湧動する墨潮 ― アジア現代美術交流展」高雄市政府文化局、高雄、台湾
2021年「汎 ― ポストトレンド時代の様相」国際交流展、韓国信託協会、ソウル、韓国
2021年　第3回 国際芸術・デザイン協力展（IADCE）、プラファ大学 美術・応用芸術学部、チョンブリ県、タイ
2020年「墨相万仟 ― 2020アジア現代美術風貌展」台湾芸術教育館、台北、台湾
2020年「黎明 ― NEAD東北アジア国際交流展」W美術館、全羅北道益山市、韓国
2020年「湧動する墨潮」アジア現代美術交流展、台中市政府文化局、台中、台湾
2020年「湧動する墨潮 ― 2020中韓現代水墨国際交流展」新北市芸文センター、新北、台湾
2017年「無無常・無無法」台湾現代水墨11人展、東街六号美術館、杭州、中国
2017年「匯」静安現代芸術招待展、海上文化センター、上海、中国
2016年「霧の国 ― 現代水墨における女性の文脈」誠空間、台北、台湾
2016年「霧の国 ― 現代水墨における女性の文脈」全球芸術センター、台中、台湾
2016年「人文と文人 ― 東海水墨と膠彩画の離合集散」国立歴史博物館、台北、台湾
2012年　第2回 海峡両岸 岩彩・膠彩画学術展、厦門美術館、厦門、中国
2012年「丹青風華 ― 両岸膠彩・岩彩画創作展」東海大学芸文センター、台中、台湾
2012年「女性的言語・生命の意境」台湾現代膠彩芸術家展（オンライン展）勤益科技大学、台中、台湾
2012年　2012桃園県美術家招待展、桃園文化局、桃園、台湾
2010年　2010桃園県美術家招待展、桃園文化局、桃園、台湾
2009年　第1回 海峡両岸 膠彩・岩彩画展、東海大学、台中、台湾
2005年　東海大学 美術研究科 膠彩組卒業生展、東海大学、台中、台湾
2005年「軌跡・系譜・星図」東海大学創立50周年記念 美術系卒業生回顧展、東海大学、台中、台湾
2004年　台湾膠彩画エリート創作展、静宜大学芸術センター、台中、台湾
2002年「復古と革新の間」台湾膠彩新風貌展、台北県文化局・台中市文化局、台北・台中、台湾
2001年「膠流 ― 膠彩新風貌展」静宜大学芸術センター、台中、台湾
2001年「10+10=21 台北―台中連展」国立台湾美術館、台中、台湾
2001年「浅薄：東海美学運動展」台中港区芸術館、台中、台湾
2000年　台湾師範大学と東海大学美術研究所 国画教育研究展、台中市政府文化局、台中、台湾
2000年「大肚山膠彩画展」台中港区芸術館、台中、台湾
2000年「男声・女芸 ― 新鋭展」台中港区芸術館、台中、台湾
1999年　台中膠彩源流展、台中文英館、台中、台湾
1999年　現代エロス芸術展、台中文英館、台中、台湾
1999年「覚生の象」グループ展、静宜大学芸術センター、台中、台湾

【 Award 】

受賞歴

2010年　高雄賞 入選、高雄、台湾
2005年　台湾美術新風貌展 入選、台中、台湾
2001年　第18回 高雄市美術展 入選、高雄、台湾
2000年　第89回 台北県美術展 膠彩画部門 大賞、台北、台湾
2000年　第27回 台北市美術展 入選、台北、台湾
1988年　国家文化芸術基金会 美術類創作助成（半年）、台湾
1988年　第16回 高雄市美術展 入選、高雄、台湾
1988年　第25回 台北市美術展 台北賞（首賞）、台北、台湾
1988年　第86回 教育部芸術創作賞 膠彩画部門 佳作、新北、台湾
1997年　張穀年絵画奨学金、台中、台湾
1997年　東海大学 美術学科展覧会 膠彩部門 首賞、台中、台湾