博多阪急で開催!
アートづくしの企画、THE ART STATIONのお知らせ

2020.10.08

アートフェアアジア福岡2020、及び新人作家公募展 AFAF AWARDS 2020が中止になった今年、
博多阪急で今月、全館様々なアート提案が行われます。

8階の会場では、九州に起点、関わりのある48名のアーティストが競演。
絵画、造形、インスタレーションなど、みなさんのお気に入りのアートを見つけてください。
福岡で人気のカフェの「manucoffee」も登場。
さらに7階の会場では、1950年代より芸術の変革が叫ばれはじめ、多種多様な美術が登場し始めた時期に、東京の「ネオ・ダダ」、関西の「具体美術協会」などの中で異彩を放った九州派に焦点を当て、メンバー所属時の作品から、その後の活動の作品まで展示販売いたします。

■会場
博多阪急 8階催場
Kyushu New Art
10月13日(火)~10月18日(日) 10:00~20:00(最終日は17:00まで)

博多阪急 7階イベントホール『ミューズ』
異彩を放つ九州派〜それから〜
10月13日(火)~10月18日(日) 10:00~20:00(最終日は17:00まで)

詳しくはこちらから▼
博多阪急特設サイト

 

■開催にあたってのコメント

「九州派−賽は投げられた」 岩渕貞哉(「美術⼿帖」総編集⻑)

 戦後⽇本の⼤きな前衛運動のなかで、現在もっとも評価のむずかしい(確定されていない)ものが、九州派だろう。それは、その活動最盛期の作品と記録の多くが残されていないことによるとされてきた。しかし、ほんとうにそうだろうか?
 これまで「九州派展」(福岡市美術館、1988年)や書籍『九州派⼤全』(2015年)などを通じて、九州派時代の研究は確実に進んできた。いっぽうで、芸術運動の総体としての九州派にとどまらない、個々のアーティストの作品(それは九州派以降の作品を含む)の全⾯的な開陳と批評から、九州派が持っていた核⼼的な可能性を遡⾏的に掘り出していくことがもとめられている。
 この展覧会は、その端緒となるものである。「歴史の空⽩でひたすら眠りこけている」(椹⽊野⾐)九州派が「世界」へ向けて、ついに覚醒するときがきた。そのとき、九州も⽇本の「地⽅」からアジアの「ハブ」へと変貌を遂げているだろう。

「『九州派』-史実と演義の狭間で」 宮津大輔(アート・コレクター、横浜美術大学 学長)

 第二次世界大戦(1939 年~1945 年)は全てを破壊し尽くし、あらゆる既存の価値観を転覆させた。もちろん、文化・芸術もその埒外ではなかった。終戦後、世界中で巻き起こった「抽象表現主義」や「アンフォルメル」が我が国にも伝播し、敗戦で打ちひしがれた自らのアイデンティティを探るため、ジャンルを超えて数多くの「抽象・非形象」的な表現が生まれ出でたのである。しかし、高度成長期に向かいつつある中で、パフォーマンスは絵画へ、革新的表現は家元制度などへ収斂されていくことになる。一方で、読売アンデパンダン展(フランスのサロン・デ・アンデパンダンに倣った無審査、無償の自由出品形式の年次展覧会)会場は、「反芸術」思考を有する若手アーティストたちの熱気で満ち溢れていた。
 その頃、豪放磊落でありながら稀代の理論家であり、組織を束ねる力に優れた桜井孝身は、二科展の第九室(実験的表現に特化した作品に焦点を当てた部屋)に展示されたデビュー作が、岡本太郎に激賞されるほど鋭敏な前衛性を備えたオチ・オサムと運命の出会いを果たす。動と静あるいは太陽と月ともいえる二人の回りに個性豊かな星々が集い、やがてそれは「九州派」という銀河系を形づくるに至ったのである。「反中央」を掲げ既存画壇に異を唱え、三池争議では労働者と共闘。そして、画材代りにアスファルトをぶちまけたダイナミックな作品をものするなど、現在の官製による”脱東京””地方創生”が霞むほどに、彼らは生活者視点によって地域の社会的現実を捉えることに血道を上げていたのである。
 「大激論の末、芸術論争は酒の飲み比べで決着する」や「時に手が出る激しい内部抗争」ばかりが半ば伝説化されているが、彼らの真の姿は今、ここに在る作品が何よりも雄弁に物語っている。
 洒落たデパートのスペースに展示された自らの作品を、既に鬼籍に入ったメンバーは草場の陰から笑っているであろうか。否、デパートで店員として働き、催事場で楽焼に絵付けしながら、作品を制作していたのが「九州派」である。安っぽいマーケティング戦略や理想論に終始する芸術とは無縁の、そして流行とは程遠い表現の数々をその目でとくとご覧あれ。