SECTION:
AFAF Special Booth
BOOTH:
A05

HANDS OFFLINE

手の仕事に注目したキュレーションブース

HANDS OFFLINEは、オフラインの手の仕事に注目するキュレーテッド・ブースです。
ポスト・インターネット時代における手は、過去の手とは異なる意味を持ちはじめています。現代の手を知るためには、「クラフトかアートか」という二元論から浮く必要があります。
HANDS OFFLINE上に並んだいくつもの手仕事は、あなたに何を手渡すでしょう。
未来の手に関する感覚や思考も呼び覚まされるでしょうか。

Artists:中村弘峰 x 古賀崇洋 x crafcult
協力:B-OWND

ART DIRECTOR PROFILE

緑川雄太郎

1983年生まれ。2007年早稲田大学第二文学部表現芸術系専修中退。
トランスヒューマニズム、ポストアントロポセン、クォンタムコンシャスネスをベースに、人類以降のアート「ART AFTER HUMAN」に関するプロジェクトを企画。

Photo: Thomas Vauthier

Artists

中村弘峰

crafcult

古賀崇洋

Artworks

中村弘峰

Hiromine Nakamura

GREAT MISSION -Flood Hazard-

2025

陶彫彩色

Sculpture

H55 × W30 × D20 cm

Artist Profile

1986年生まれのドール・アーティスト。
2011 年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了後、父・中村信喬に弟子入り。
1917 年創業の博多人形師・中村人形の4 代目として歴史を守りながら、「もしも江戸時代の腕の良い人形師が現代にタイムスリップしてきたら」というSF 的仮説に基づいた軽やかな作品で知られる。人形を「最小単位の宗教」とみなす弘峰は、そこに個人の祈りが込められていると語る。
弘峰の代名詞であるアスリート・シリーズは、子供の成長を願う伝統的な桃太郎人形の強さが現代の野球選手の姿が重なったことで誕生する。人々の根源的な祈りを、伝統に基づきながら現代的な形式に変容させるという繊細かつ大胆な技は、並のプレーヤーでは見せられないゲームチェンジャーならではの曲芸だ。
弘峰の手は、次世代への祈りに形を与え、変容の肯定を促しているのではないだろうか。あるいは次世代の桃太郎は、現在のアスリートから別の何かに変わるかもしれない。

HANDS OFFLINE

Detail
SECTION :
AFAF Special Booth
BOOTH :
A05

crafcult

MONMON - kuumon -

2024

和紙、木材、アクリル絵の具、鉄線

Mixed Media

H77 × W37 × D37 cm

Artist Profile

2021年設立のクリエイティブ・ユニット。
「工芸を崇拝する」という意味のcrafcult は、従来の提灯を現代的な文脈で再解釈し、妖怪や家紋、春画をなどを取り入れた活動で知られている。代表の伊藤博紀は福岡の提灯屋・伊藤権次郎商店の8 代目。
長い竹ひごを使う一条螺旋式の八女提灯は、盆提灯としては全国一の生産量を誇る。文化遺伝子だけでなく、210 年続く提灯遺伝子を文字通り受け継いだ技術力と、伊藤独自の企画力が結びつき、これまでにない提灯文化を国内外問わず灯し続けている。
照明、祭事、看板、仏具として使われる提灯だが、今回HANDS OFFLINE で出品されている『MONMON』シリーズは、「家紋が顔に見えてきた」という伊藤の発想から、家紋がポップなモンスターに変異し、不可解な世界を表象する。明るすぎる世界とは対照的な異界を招き入れているかのようなcrafcultの手は、ポスト・インターネットのオンラインとは異なる世界と繋がっているのかもしれない。

HANDS OFFLINE

Detail
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AFAF Special Booth
BOOTH :
A05

古賀崇洋

NEO NOBORIGOI

2025

陶土(天草陶土)

Sculpture

H30 × W20 × D16 cm

Artist Profile

1987年生まれのセラミック・アーティスト。
日本の工芸品である招き猫やだるまにパンクのスタッズを組み合わせた「反わびさび」で知られている。
1970 年代後半イギリスにおける若者たちの絶望感や未来への悲観は「No Future」だったが、利休の反転である古賀の「反わびさび」は煌びやかだ。確かに、転調やサス4 による虚脱感が漂うRadiohead の「No Surprises」(1997 年)と比べれば、軽快なメジャーコードで構成されたSex Pistols の『God Save the Queen』(1977 年) には現状を打破しようとする鬱屈したエネルギーが発散されている。「未来がない」と叫ぶことで逆説的に未来を引き立たせたパンクは、古賀が魅了された「黒茶碗を使うことでその存在感を無くし、茶を引き立てた」千利休と似ている(B-OWND)。
では「反わびさび」という物質の誇張は何を掻き消すのか。あるいは古賀は、現代の文化に触れながら、全く異なるオフラインに手を伸ばしているのかもしれない。

HANDS OFFLINE

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AFAF Special Booth
BOOTH :
A05